お坊さんの贈り物
むかしむかし、空海(くうかい)という名の、旅をしながら村から村へと歩く、お坊さんがいました。
ある冬の日、宿(やど)が見つからないうちに夜が来ました。
「どこかに、とめてくれる家はないかな?」
でも、きたないお坊さんの姿を見て、とめてくれる家はありませんでした。
とうとう、雪がふってきました。
村はずれまで来ると、一軒のまずしい家がありました。
「雪にふられて困っておる。今夜、ひと晩とめてくだされ」
すると中から、おばあさんが出てきて。
「あれまあ、お気の毒に。こんなところでよかったら、さあ、どうぞ」
おばあさんは、お坊さんをいろりのふちに座らせると、おわんにお湯を入れてあげました。
「食べる物もなくてのう。せめて、お湯でも飲んでくだされ。からだがあったまりますから」
お坊さんは、両手でおわんをかかえるようにしてお湯を飲みました。
冷えきった体が、どんどんあたたかくなってきます。
「ありがとう。まるで、生き返ったようだ」
お坊さんが礼を言うと、
「あしたの朝は、きっとなにか作りますから」
おばあさんが、申しわけなさそうに頭をさげました。
するとお坊さんは、ふところから米を三粒ほど出して、
「すまんが、これでおかゆを煮てくれ」
と、いいました。
「へええ、これでおかゆを・・・」
おばあさんはビックリしましたが、言われたように、なべに三粒の米を落とし、それにたっぷりとお湯を入れ、いろりの上にのせました。