むかしむかし、ある国の大きな森に、それはらんぼうなイノシシが住んでいました。そこで王さまは、イノシシをたおした者とお姫さまを結婚させるとおふれを出したのです。それを聞いて、まずしい二人の兄弟が名乗り出ました。

弟が小人にお礼を言って歩き出すと、間もなくイノシシがあらわれました。イノシシは自分からヤリに向かって飛びかかり、そのヤリで心臓(しんぞう)をひと突きすると、あっけなく死んでしまいました。
さて、西から森に入っていったお兄さんは、途中のお店でお酒を飲んでいました。ところが、イノシシをかついで帰ってきた弟を見てくやしがり、イノシシをよこどりすることを考えました。夜になるまで弟にお酒を飲ませ、暗い橋の上でなぐって殺してしまいました。
お兄さんは弟を橋の下にうめると、イノシシを取って、王さまのところへ持って帰りました。そして自分がイノシシを倒したとうそをついて、お姫さまと結婚したのです。何年か過ぎたある時、ヒツジ飼いがあの橋を渡りました。そして、下の河原の砂の中から雪のように白い骨を見つけると、それをひろって笛(ふえ)を作りました。
ところが、その笛を吹こうとすると、笛はひとりでに歌い始めました。♪兄がわたしを殺し♪橋の下に埋めました ♪イノシシをよこどりして♪お姫さまと結婚しました 。不思議に思ったヒツジ飼いは、骨を王さまのところへ持っていきました。
すると骨は、またさっきの歌を歌い、王さまは本当のことを知りました。悪いお兄さんはすぐに殺され、そして弟の骨は全部橋の下からほり出されて、美しい墓石の下にほうむられました。