むかしむかし、あるところに、仲の良いおじいさんとおばあさんがいました。
二人は、ある晩、
「なあ、ばあさんや。どちらかが先に死んだら、お墓には入れないで家のかべにぬりこめよう。そうすれば、いつまでも一緒にいられる」
「そうですね。そして死んだ者が、かべの中からよんだら、かならず返事をすることにしましょう」
と、約束しました。
ところが間もなく、おばあさんがポックリ、あの世へ行ってしまったので、おじいさんは約束通り、おばあさんの亡きがらをかべにぬりこめたのです。
すると、その日から毎日、
「おじいさん、いるかい?」
かべの中のおばあさんが聞いてきます。
「ああ、ここにいるよ」
「何をしているんだい?」
「わら仕事だよ」
またしばらくすると、おばあさんが聞きます。
「おじいさん、いるかい? 何をしているんだい?」
一日に何度も聞かれるので、おじいさんはだんだん面倒くさくなってきました。
「だれか、わしにかわって、返事をしてくれる者はおらんかなあ」
おじいさんがため息をついていると、うまいぐあいに旅の男がやってきました。
「すみません。旅の者です。よければ一晩、泊めていただけませんか?」
それを聞いたおじいさんは、大喜びで言いました。