問題11 次の(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
(1) 現代は、①時間がどんどん加速されているとも言われます。何事にも「早く、早く」とせかされ(注1)、時間と競争するかのように忙しさに追われていることを、大人たちはこういう言い方をしているのです。いつも同じ速さで時間が流れているはずなのに、時間の間隔が短くなったような気分で追い立てられて(注2)いるためでしょう。それをエンデ(注3)は『モモ』という作品の中で「時間どろぼう」と呼びました。ゆっくり花を見たり音楽を楽しんだりする、そんなゆったりした時間が盗まれていく、という話でした。②いつも何かしていないと気が落ち着かない、現代人はそんなふうになっています。
その一つの原因は、世の中が便利になり、能率的になって、より早く仕事を仕上げることがより優れていると評価されるようになっているためと思われます。競争が激しくなって、人より早くしなければ負けてしまうという恐れを心に抱くようになったためでしょう。「時間は金なり」となってしまったのです。
しかし、それでは心が貧しくなってしまいそうです。何も考えずにひたすら決められたことをしていて人生が楽しいはずがありません。ゆっくり歩むからこそ、道ばたに咲く花に気づいたり、きれいな夕日を楽しむ気分になれるのです。私たちは、時間を取り返し、もっとゆったりした時間を生きる必要がありそうですね。
(池内了『時間とは何か』による)
(注1) せかされる:急がされる
(注2) 追い立てられる:ここでは、何かをしないではいられない気持ちにさせられる
(注3) エンデ:ドイツの児童文学者
60 ①時間がどんどん加速されているとはどういうことか。
1 しなければならないことが多くて時間が短く感じられる。
2 何かに夢中になっていると一日の時間が短く感じられる。
3 作業能率が上がって一日の仕事の時間が短くなっている。
4 技術の進歩によって仕事にかかる時間が短くなっている。
61 ②いつも何かしていないと気が落ち着かない原因を筆者はどう考えているか。
1 何もしないと心が貧しくなってしまうと感じること
2 早く何かを仕上げないと他の人に勝てないと思うこと
3 失った時間を取り戻さないと競争に負けてしまうと思うこと
4 奪われた時間を取り戻さないと人生を楽しめないと感じること
62 筆者は、時間の使い方についてどのように考えているか。
1 時間は貴重なので、休むときにも能率的に過ごしたほうがよい。
2 忙しい中にも、のんびり過ごす時間をできるだけ持ったほうがよい。
3 人生を楽しむためには、ひたすらゆっくり時間を過ごしたほうがよい。
4 人との競争に勝つためには、時間をもっと有効に使うようにしたほうがよい。
(2)
これはビジネス文書に限ったことではないのだが、何であれ文書を書いていると、尐しばかり緊張感を覚えるものだ。書きながら、頭の中でこんなことを考えている。
この書き方でいいのかな。
これ、ひどく下手な書き方じゃないだろうか。これでわかるかな。
そういう気がしきりに(注1)して、ちょっとしたプレッシャーになっている。だからこそ、文章を書くのは苦手だ、と思っている人もいるのじゃないだろうか。
しかし、その逆もまた真である。文章を書く面白さとは、そういうプレッシャーを感じながら、なんとか諸問題をクリアして、一応のものを書き上げることにあるのだ。
テレビゲームが楽しいのと同じ理屈(注2)である。あれは、攻略する(注3)のが簡単ではない様々な障害をかわしながら(注4)、次々に問題を解決していって、なんとかクリアしていくところが面白いのである。むずかしいからこそ、うまくやったときに楽しいのだ。
文章を書くのも、①そういうことである。これでいいのかな、と一抹の(注5)不安を抱えながら、なんとか書いていくってことを楽しまなければならない。 別の言い方にすると、文章というものは、書く人に対して、うまく書いてくれ、と要求してくるのである。なぜなら、文章とは人と人とのコミュニケーションの道具だからだ。この例外は、自分だけにわかればいいメモと、絶対に他人に見せない日記だけである。
それ以外の文章は、必ず、書く人間のほかに、②読む人間がいて完成されるのだ。そして、書いた人の伝えたかったことが、読んだ人にちゃんとわかってこそ、文章は役をはたしたことになる。
清水義範『スラスラ書ける!ビジネス文書』による)
(注1) しきりに:何度も
(注2) 理屈:ここでは、考え方
(注3) 攻略する:うまく解決する
(注4) かわしながら:避けながら
(注5) 一抹の:ほんの尐しの
63 筆者は、文章を書くときに何がプレッシャーになっていると述べているか。
1 このまま最後まで書き上げられるか不安だという気持ち
2 読む人が期待する書き方をしているかという気持ち
3 自分は字を書くのが下手だから嫌だという気持ち
4 書きたいことがうまく書けているかという気持ち
64 ①そういうことであるとはどういうことか。
1 様々な障害をクリアしていくことがむずかしい。
2 プレッシャーを忘れ、いろいろ考えるのが楽しい。
3 苦労して問題を片付け、課題を仕上げるのが楽しい。
4 不安を抱えたままでは問題を解決するのがむずかしい。
65 ②読む人間がいて完成されるとはどういうことか。
1 文章の価値を決めるのは読み手の存在だ。
2 文章が成立するには読み手の存在が必要だ。
3 文章は人に読まれることでよりよいものになる。
4 文章は読み手の要求にこたえることでできあがる。
(3)
皆さんは寄付をしたことがあるだろうか。異常気象で食べる物が不足して困っている人や、地震で家を失った人のためにわずかながらもお小遣いから寄付した経験を持つ人は多いだろう。その寄付に対する考え方に、今、新しい動きが起こっている。
ある会社では、社員食堂で低カロリーの定食を食べると代金の一部が寄付金となって途上国(注)の子供たちの食生活を支援する、というシステムを取り入れている。社員としては体調管理につながるだけでなく、人を助けることができ、会社としては社員の健康を支えながら社会貢献ができるので、社員にとっても会社にとっても一石二鳥というわけだ。
また、「寄付つき」の商品を販売する企業も増えている。特定の商品を買うと売り上げの一部が寄付されるというもので、他の商品と比べるとやや値段は高いが、商品を買えば、同時に寄付できるという手軽さが消費者に歓迎され、売り上げを伸ばしているという。
これまでの寄付はわざわざ募金の場所へ足を運んだり、銀行からお金を振り込んだりしなければならないものが多く、社会貢献に関心はあっても寄付をするのは面倒だと実際の行動には移さない人も尐なくなかった。そこに目をつけたのが新しい寄付の形で、これまでと比べ手軽に寄付ができるようになり、社会貢献がしやすくなった。さらに、企業にとっても自社のイメージの向上や売り上げの増加などメリットの多い取り組みとなっている。
このように寄付は慈善のためというばかりでなく、寄付をする側にもプラスになる活動としてとらえ直され始めている。
(注)途上国:経済成長の途中にある国
66 社員食堂で低カロリーの定食を食べることがどんな良い結果につながるのか。
1 社員の健康が守られ、社会の役に立つことにもなる。
2 社員に定食代の一部が返金され、寄付をする余裕ができる。
3 会社で寄付が日常のことになり、食生活に対する意識も高まる。
4 会社は社会の役に立つことができ、食堂の経費の節約にもなる。
67 この文章では、これまでの寄付にはどのような問題があったと述べているか。
1 寄付をする方法があまり知られていない。
2 寄付をすることが社会的に評価されにくい。
3 寄付をするのに手間がかかるシステムである。
4 寄付をするためには経済的に余裕がなければならない。
68 この文章における新しい寄付とはどういうものか。
1 企業が社員や消費者の意思にかかわりなく積極的に行うもの
2 企業が慈善事業のためではなく利益を上げるために行うもの
3 社員や消費者が手軽に寄付ができて企業側にも利点があるもの
4 社員や消費者が気がつかないうちに社会貢献に参加できるもの
問題12 次のAとBの文章を読んで、後の問に対する答えとして最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。
A
社会人になったばかりの今、皆さんは仕事の厳しさや学生時代にはなかったような人間関係の複雑さに驚いているのではないでしょうか。こんなはずではなかったと、抱いていた理想が崩れそうになることがあるかもしれません。特に、自分とは異なる価値観を持った上司や先輩から無理な仕事を頼まれたときなど、強くそう感じることでしょう。時には先輩の言葉につい反発(注1)したくなることもあるでしょう。しかし、そんなときにはまず相手の考え方を受け入れてみてください。信頼関係を築くにはある程度の時間が必要であり、その後で自分の考えを述べればよいのです。それまでは自分を抑えることも大切で、それが社会人としての訓練でもあります。
B
人間にとって心身ともに健康であることが理想的だが、新しく社会に出た若者たちは、時にはうまくいかないことに出会い、自信を失うこともあるだろう。経験から言うと、同僚どうりょうや先輩の温かい言葉が耳に入らなくなってしまうのは、そういう、自分に自信がなくなったときであることが多い。その結果、今まで築いてきた人間関係まで壊してしまうことさえある。自分の周りの人たちを大切にして、助言(注2)を生かしていく気持ちを持つためには、まず自分のこれまでの努力を肯定的にとらえてみよう。結果が完璧でなくても、「よくやった」と自分自身に言えると、他の人の言葉も素直に聞くことができるようになる。
(注1)反発する:言い返す
(注2)助言:アドバイス
69 AとBに共通して述べられていることは何か。
1 職場での人間関係を大事にするにはどうすればいいか。
2 職場で自分の努力を認めてもらうにはどうすればいいか。
3 社会人になって職場で自信をなくした時、どうすればいいか。
4 社会に出て周囲の人と自分の考えが違った時、どうすればいいか。
70 AとBでは新社会人にどのようにアドバイスをしているか。
1 Aでは自分の価値観を重視することが大切だと述べ、Bでは自分の努力してきた姿を振り返ることが大切だと述べている。
2 Aでは周りの人に自分の考えを伝えることが大切だと述べ、Bでは相手に認めてもらうことが大切だと述べている。
3 Aでは相手の考えを尊重することが大切だと述べ、Bでは自分の努力を認めることが大切だと述べている。
4 Aでは相手の意見を認めることが大切だと述べ、Bでは周りの人の言葉を聞くことが大切だと述べている。
答案:
問題11:1 2 2 4 3 2 1 3 3
問題12 :4 3
以上内容就是2010年12月 日语能力考试二级真题读解部分相关内容,更多精彩真题请继续关注前程百利日语考试频道!
您还有可能关注: