◆少年法〔少年事件〕
少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正および環境の調整に関する保護処分を行うと同時に、少年および少年の福祉を害する成人の刑事事件について特別の措置を講ずる根拠となる法律として一九四八(昭和二三)年に制定されたものである。
人格形成が未発達の少年に対して、大人と同様の刑罰を科しては、逆に悪影響をもたらしかねない、そこで、「教育」を主な目的とした保護処分を行おうというのが少年法の基本的な考えである。このような基本的な考え方に対して、最近では、少年も大人と同様に、刑罰によって責任を問うたほうがよいという議論もでてきている。
◆少年法改正〔少年事件〕
ここ何年もの間話題になっている少年法改正に関する論議は、大きく分けて、二つの方向からなされている。ひとつは、法務大臣が法制審議会に諮問する形で行われたもので、主として、事実認定の適正化を目的とした議論が行われた。具体的には、裁定合議制、審判への検察官の立会、検察官が立会する審判への弁護士付添人の立会、観護措置期間の延長、検察官への抗告権付与、保護処分終了後の救済手続の整備などについて検討されている(法案としてすでに国会に提出されている)。もうひとつは、自民党が中心となって進めている改正論議で、刑罰を科すことができる対象年齢の引き下げや、保護者の責任の明確化・親に対する措置内容の強化等について話し合われている。
いずれの改正論議に対しても、賛否両論があり、また、いずれの改正論議に対しても現行少年法の理念を変容しかねない、という懸念が寄せられている。例えば、前者の議論に対しては、裁判所の都合が優先し、審判を受ける側の少年の視点からの議論がなく、その権利の保障にほとんど配慮されていないという指摘があり、後者に対しては、少年を刑務所に収容することへの根本的な疑問が投げかけられている。
▲少年事件の捜査および家庭裁判所送致等〔少年事件〕
◆非行のある少年〔少年事件〕
非行のある少年とは、犯罪少年、触法少年、虞犯少年のことを意味する。犯罪少年とは法律上の犯罪を犯した一四歳以上二〇歳未満の少年のこと。触法少年とは一四歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年のことをさす。虞犯少年とは、犯罪性がある人と交際したり、いかがわしい場所に出入りしたりするなど、自己または他人の徳性を害する行為をする性癖がある二〇歳未満の少年のことをいう。なお、検察官送致によって刑事処分を科すためには、送致の時点で一六歳になっていることが必要である。また、一四歳に満たない少年は、刑事未成年として刑事罰の対象とならない。