地球が球形なのは誰でも知っている。それを踏まえて、自分の目で見て一番遠いところにあるものは何か? 答えは自分の背中だという。地球一周4万キロのかなた。むろん冗談だが一端の真理はある。自分の「背中」ほど見えにくいものはない
▼众所周知,地球是个球形。那么,自己亲眼能看到的最远地方又是哪里呢?答案是自己的后背,远在地球4万公里的另一端,尽管是个玩笑但也是真理所在。没有比看到自己的后背更难的事情了。
▼背中とは、その人の無意識がただよっているような、不思議な場所だ。きょうが没して50年の作家吉川英治に「背中哲学」という随筆があって、「どんなに豪快に笑い、磊落(らいらく)を装っていても、その背中を見ると、安心があるかないかわかる気がする」と書いている
▼所谓后背,就是本人意识不到且出人意料的地方。已逝50年的作家吉川英治有一篇随笔叫做《后背哲学》,里面有一句这样写道:“无论笑得多么豪放,装得多么磊落,只有看看后背才知道能不能放心。
▼顔と背中が、二つの仮面を合わせたように違う人もいるという。正面は取り繕(つくろ)えるが裏は隠せないものらしい。「宮本武蔵」や「新・平家物語」などを世に送り、大衆小説を国民文学にまで高めた大作家は、さすがに人間通だ
▼听说有人的面容和后背,就像戴了两个假面一样迥然不同。当面可以修缮其表,背后却暴漏无疑。不愧是创作了「宮本武蔵」和「新・平家物語」等作品的大文豪,把大众小说提升到了国民文学的高度,对人性有着通透的认识。
▼「40歳を過ぎたら自分の顔に責任を持たねばならない」はリンカーンだが、「顔」は「背中」にも置き換えられよう。目標にしたい後ろ姿が職場にあれば若手は育つ。子は親の顔色をうかがうが、背中は黙って見ているものだ
▼林肯曾经说过,“过了40岁,必须对自己的言行负责”。能让自己的面孔和后背置换一个。在职场如果有能够成为别人榜样的背影,年轻人会获得成长。尽管孩子是经常看父母的脸色,但他们也在默默地观察父母的背影。
▼東京・下町の銭湯で半世紀、お客の背中を流してきた人が、3年前に本紙にこう話していた。「黙って苦労を語っているような背中ってあるんだ。ごくろうさん、て声をかけたくなるよね」
▼在东京平民区的公共澡堂,半个世纪都在给客人搓背的工人,3年前在本报这样说。“有人的后背讲述了那无言的辛劳。真相跟他们说一声,您辛苦了。”
▼さて、世間を眺めれば、「選挙の顔」選びに政界が騒がしい。見てくれに惑わされず、どの人、どの政党の背中が偽りないかを見極めたいものだ。昭和の文豪の慧眼(けいがん)にあやかりながら。
▼那么,看看这个世界,对于“参选的面孔”,政界一阵骚动。希望民众不要被表面困惑,要像昭和的文豪一样独具慧眼,看清政党背后的伪装。
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