次の文章を読んで、後の問いに答えなさい。答えは、1、2、3、4から最も適なものを一つ選びなさい。
外国人が日本に来て、日本人の会話を聞くと、一番(注1)耳につくのが「ね」という言葉だという。①「今日はたくさん人が来ましたね」とか、「今日は天気がよかったですね」とか、何かと「ね」をつける。あの「ね」は何という意味ですか、と聞かれたことがある。日本人ならすぐわかる。「今日はたくさんの人が来たと思っています。あなたも同じでしょ」 。つまり、「あなたと同じ気持ちです」ということを、私たちは会話をする毎(ごと)に繰り返している。この「ね」ということを繰り返し繰り言うことで、相手に対する軽い尊敬(そんけい)の気持ちを表している。だから挨拶(あいさつ)ということが非常に大切なのである。
アメリカ人が日本にやって来ると、日本人の挨拶はうるさくて仕方がない、と思うようだ。例えば、(注2)思いがけないところで知っている人とバッタリ会う。「どちらにお出かけですか」と尋ねる。アメリカ人はうるさいと思う。 「どこに行こうと俺の勝手だ。俺の私生活の秘密を探(さぐ)ろうとしているのだろうか」。( ② )、日本人は何もそういうつもりではない。 「こんなところでお目にかかるとは思いがけないことだ。もしあなたの(注3)身の上に何か大変なことが起こったのではありませんか」と、相手を心配して聞くわけである。だから聞かれた方も(注4)正直(しょうじき)に「银行へお金をおろしに行くところです」なんていう必要はない。相手にご心配(注5)には及びませんよ、ということを伝えればいい。そこで何と言うか。「( ③ )」。これでおしまいである。
④「先日は失礼しました」 。これもよく私たちが口にする挨拶である。アメリカ人はびっくりする。 「確かに先日この男に会った。しかし、そのときにこの男は俺に何にも悪いことはしていないはずだ。もしかしたらこの男は、俺(おれ)の知らない間に何か悪いことをしたのではないか」と心配になるという。日本人の気持ちはそうではない。 「先日は失礼しました」 と言ったら、先日あなたにお目にかかりました。私は不注意な人間なので、「 あなたから見て、 何か失礼なことがあったかもしれません。もしそんなことがあったら、あなたにお詫(わ)びしなければなりません」という気持ちで言っている。こうした挨拶の言葉からもわかるように、⑤私たち感謝(かんしゃ)することよりも、謝ることを尊(とうと)ぶ。
みなさんがバスに乗っている。おばあさんが乗ってきた。誰かが席を譲(ゆず)る。おばあさんは何と言うか。「ありがとうございます」とお礼を言う人もいるだろうが、 「すみませんねぇ」と謝る人の方がはるかに多いことだろう。おばあさんの気持ちはこうである。 「私がもし乗ってこなければ、あなたはずっと座っていられました。ところが私が乗ってきた(注6)ばかりに、あなたは立たなくてはならなくなりました。あなたにご迷惑をかけてしまったのではないでしょうか」 、そんな気持ちで謝るのである。
(金田一春彦 『ホンモノの日本語を話していますか?』<角川書店>より)
(注1)耳につく:同じことを何回も聞かされて、気になる。
(注2)思いがけない:予期しない。意外である。
(注3)身の上:その人の一身に関することがら。
(注4)正直:心に偽(いつわ)りのないこと。
(注5)~には及(およ)ばない:~する必要はない。
(注6)~ばかりに:~が唯一の理由で、(悪い結果に)なった。
問1 ①「今日はたくさん人が来ましたね」とか、「今日は天気がよかったですね」とあるが、それと同じ用法の「ね」はどれか。
1 確か、あしたはあなたの诞生日でしたよね。
2 私はそうは思わないね。
3 今度の日曜日にね。妻と映画を見に行くことにしたんだ。
4 今日の講演(こうえん)はほんとうに良かったわね。
問2 ( ② )にはどの語が入るか。。
1 それなのに 2 しかし
3 それでも 4 だから
問3 ( ③ )にはどの文が入るか。
1 こちらこそ 2 ちょっとそこまで
3 お世話になります 4 お変わりありませんか
問4 ④「『先日は失礼しました』。これもよく私たちが口にする挨拶である」 とあるが、日本人はどうして「失礼しました」と言うのか。
1 日本人は人に迷惑をかけたとき、次に会ったときにも謝る習慣があるから。
2 「失礼しました」は、人と会ったときに交わす挨拶の言葉だから。
3 知らず知らずのうちに相手に失礼なことをしている可能性があるから。
4 「失礼しました」は、 「ありがとうございます」と同じお礼を表す言葉だから。
問5 ⑤「私たち日本人は感謝(かんしゃ)することよりも、謝ることを尊(とうと)ぶ」とあるが、このことから日本人のどんな国民性がわかることは何か。
1 日本人はお互いが同じ意見を持つことを常に大切にしている。
2 日本人は自分の行為の責任を自分で取ることを常に大切にしている。
3 日本人は自分の気持ちがどうかということを常に大切にしている。
4 日本人は相手の気持ちがどうかということを常に大切にしている。
問6 この文章の内容に合わないのはどれか。
1 日本人は謝る挨拶言葉をよく使うが、それは相手に対して謝罪しているのではなく、感謝の気持ちを表しているのである。
2 日本人は相手を尊重する気持ちを謝ることで表す傾向があるが、外国人にはなかなか理解しにくい。
3 外国人にとっては奇妙に思える日本人の挨拶も、そこには日本人特有の考え方があり、文化がある。
4 日本人は会話の中で何かと「ね」をつけるが、それは日本人の相手に対する尊敬の気持ちの表れでもある。
正解:
問1:4
問2:1
問3:2
問4:3
問5:4
問6:1
問1: 「あなたと同じ気持ちです」という同意•共感の「ね」はどれか。
問2:逆説であることははっきりしている。 「しかし」は広く前に述べたことと対立していれば使える。一方、「それなのに」は因果の逆説、「それでも」は条件の逆説。
問3:これはとても基本的な挨拶ことばの一種。
問4:理由は同じ段落の後半部に書いてあるので、同じ内容のものを選べばいい。
問5: 「どちらにお出かけですか」 「先日は失礼しました」 、そしておばあさんの「すみません」に共通するのは相手への気遣い、つまり相手がどう思っているかということだとわかる。
問6: 「謝る挨拶言葉」は感謝の場面でも使われるが、 「先日は失礼しました」のようにそうでない場合もあるので、1が誤りとなる。
以上就是日语能力日语能力考N2读解练习80的相关内容,阅读没有更好的办法,基本知识掌握牢固的前提下要多做练习,把握做题规律,祝各考生取得一个好成绩。
您还有可能关注: