京都に住む染織家志村さんの仕事場を訪ねたおり、志村さんがなんとも言えない美しい桜色に染まった糸で織った着物を見せてくれた。そのピンクは、淡いようでいて、しかし燃えるような強さをうちに秘め、華やかでしかも深く落ち着いた色だった。その美しさは、目と心を吸囲い込むように感じられた。
「この色は何から取り出したんですか。」
「桜からです。」
と、志村さんは答えた。素人の私は、すぐに桜の花びらを煮詰めて色を取り出したものだろうと思ったが、実際はこれは桜の皮から取り出した色なのだった。あの黒っぽいごつごつした桜の木の皮から、この美しいピンクの色が取れるのだという。志村さんは続けてこう教えてくれた。この桜色は一年中どの季節でも取れるわけではない。桜の花が咲く直前のころ、山の桜の皮をもらってきて染めると、こんな、えもいわれぬ美しい色が取り出せるのだ、と。
私はその話を聞いて、体が一瞬揺らぐような①不思議な感覚に襲われた。春先、もう間もなく花となって咲き出ようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命に最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裏に揺らめいたからである。花びらのピンクは、幹のピンクであり、樹皮のピンクであり、樹液のピンクであった。桜は全身で春のピンクに色づいていて、花びらは、(②—A)それらのピンクが、(②—B)先端だけ姿を現したものにすぎなかった。
考えてみれば、これは(②—C)そのとおりで、木全体の一刻も住むことない活動の精髄が、春という季節に桜の花びらという一つの現象となるに過ぎないのだった。しかし、我々の限られた視野の中では、桜の花びらに現れ出たピンクしか見えない。(②—D)志村さんのような人がそれを樹木全身の色として見せてくれると、( ③ )。
【問1】①なぜ「不思議な感覚に襲われた」のか。
1、生きた桜の精が目の前に現れたような気がしたから。
2、黒い木の皮から美しいピンク色が取られるということが信じられなかったから。
3、桜が咲く直前の皮からだけ美しいピンク色が取れることが不思議だったから。
4、桜の精が筆者の心を吸囲いとってしまう気がしたから。
答案:1
关键句:「春先、もう間もなく花となって咲き出ようとしている桜の木が、花びらだけでなく、木全体で懸命に最上のピンクの色になろうとしている姿が、私の脳裏に揺らめいたからである。」
【問2】②—A~Dに入る言葉の、正しい組み合わせを選べ。
1、A.まさに B.ほんの C.たまたま D.いわば
2、A.いわば B.ほんの C.まさに D.たまたま
3、A.いわば B.まさに C.ほんの D.たまたま
4、A.まさに B.たまたま C.ほんの D.いわば
答案:2
【問3】( ③ )にはどんな文を入れたらよいか。
1、ほっと安心する2、はっと驚く3、じっと見つめる4、ぱっと思い出す
答案:2
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