かつて自転車王国と言われた中国ですが、今や、日本に観光に来た中国人が驚くのが、自転車の多さです。「日本こそ自転車大国」。「どこでも駐輪場がある」。通勤・通学はもちろん、買い物、子どもの送迎など、様々な場面で自転車が活躍している光景が新鮮に映るようです。中国では、なぜ自転車が姿を消してしまったのでしょうか?
曾经中国被称为自行车王国,但是现在到日本观光的中国人对日本的自行车之多表示惊讶。“日本才是自行车大国”。“哪都有停自行车的地方”。上班上学就不用说了,购物、接送孩子等,各个场合都有自行车活跃的光景让人耳目一新。那么在中国,为什么自行车的身影消失了呢?
「自転車王国」と呼ばれた中国
被称为“自行车王国”的中国
かつて、中国は、自転車の生産大国であり、消費大国でもありました。戦前から始まったと言われる中国での自転車生産。老舗ブランド「永久」をはじめ、上海の「鳳凰」などがあります。
曾经,中国是自行车生产大国,也是自行车消费大国。自行车的生产据说是从战前开始的。品牌有老牌子“永久”,上海的“凤凰”等。
自転車の消費も盛んでした。1970から1980年代、中国で自転車は腕時計とミシンと一緒に「三種の神器」と言われました。現地の報道によると1980年代の末ごろには中国の自転車保有台数は5億に達し、都市部住民の主な交通道具の一つでした。自転車の輸出も盛んに行われます。「中国統計年鑑」によると、1994年は1342万台だった輸出台数は、2008年、5659万台になっています。
自行车的消费曾经很可观。从1970到1980年代,在中国,自行车和手表、缝纫机一起被称为“三大神器”。根据当地报道,1980年代末,中国的自行车持有量达到5亿,成为城市居民主要的交通工具之一。自行车的输出也很多。根据《中国统计年鉴》,1994年输出量是1342万辆,2008年是5659万辆。
自動車大国に方向転換した中国
方向转换为汽车大国的中国
ところが、労働者が工場の玄関から一斉に自転車に乗り帰宅する光景は、徐々に見られなくなっていきます。
但是,劳动人民从工厂大门一起骑车回家的光景是渐渐的看不见了。
工業化と近代化を進める中国政府が、自動車産業に力を入れたのです。1994年に中国国務院が「自動車工業産業政策」を発表、2004年に「自動車産業発展政策」を打ち出します。これらは中国政府の方針転換を示しており、中国は自動車時代に突入したのです。
工业化和近代化发展的中国政府开始致力于汽车产业。1994年中国国务院发表《汽车工业产业政策》,2004年推出《汽车产业发展政策》。这些暗示着中国政府的方针转变,中国开始迈入汽车时代。
2014年の統計によると、中国で自動車の数は1.54億台で、アメリカに次ぐ世界第2位になりました。そして、2013年の中国の自転車の保有台数は3.7億台に減っています。
根据2014年的统计,中国的汽车数量是1.54亿辆,是继美国之后世界第2名。而且,2013年中国的自行车持有数量减至3.7亿辆。
自転車は過去の名残に
自行车是过去的痕迹
自動車時代に入った中国では、自転車の車道が少なくなり、駐輪場も限られ、自転車が使いにくくなりました。また、自動車を近代化の象徴として手に入れたいと思う人が増え、逆に自転車は過去の名残として見られるようになりました。富やステータスの象徴として、移動距離が短くても自動車に乗る都市部の富裕層も少なくありません。
在进入汽车时代的中国,自行车的车道变少,停车地方也有限,使用自行车变得不方便。还有,认为汽车是现代化的象征想入手的人多了起来,反倒把自行车看作是过去的痕迹。作为富裕和身份地位的象征,即使是短距离移动也要乘坐汽车的城市富裕阶层也不在少数。
新華社通信によると、2012年の調査結果では、北京の自転車台数は今も1300万台を超え、毎年、100万台の新車が販売されていますが、北京市民が自転車で出かける比率は1980年代の62.7%から18.1%に下落しました。
根据新华社通讯,2012年的调查结果表明,北京的自行车数量现在超过1300万辆,每年,销售100万辆的新车,但是北京市民用自行车出行的概率从1980年代的62.7%下降到18.1%。
公共レンタルサイクルの試みも
公共自行车的尝试
自動車の急激な増加は、都市部の交通渋滞、排気ガスなどの公害、住民の運動不足などの問題を生んでいます。そのため2007年以降多くの都市では「公共自転車プロジェクト」を開始しています。
汽车的急剧增加导致城市的交通堵塞、废气污染等公害出现,居民运动不足等的问题发生。因此,2007年以后,大多数的城市开始“公共自行车计划”。
「公共自転車プロジェクト」は、政府が主導する公共レンタルサイクル事業です。政府の支援で進められていますが、多くの都市では運営会社の経験が不足したり、サービス拠点が限られていたり、レンタルの手続きが複雑だったりして、なかなか普及していないのが実情です。浙江省杭州市という観光都市などでは成功例もありますが、保証金の高さや、自転車の破損、盗難などの問題から、プロジェクトが挫折してしまうケースが後を絶ちません。
“公共自行车计划”是指,政府主导的公共租借自行车事业。虽然有政府的支持在推进,但是许多城市由于运营公司经验不足,或是提供服务的地方有限,或是租借的手续太复杂,很难普及,这是实情。浙江省杭州市这种观光都市是一个成功的案例,但是因为保证金贵、自行车破损、被盗等问题发生,计划受挫的情况也是络绎不绝。
「日本こそ正真正銘の自転車大国」
“日本才是真正的自行车大国”
最近の中国版ツイッター「微博」には、「驚いた!日本こそ正真正銘の自転車大国」「自転車大国は中国ではなく、日本だと感じてしまいます」など、日本の自転車の多さに驚く声が投稿されています。
最近中国版推特“微博”上有很多类似“惊呆了!日本才是真正的自行车大国”“自行车大国不是中国,而是日本啊”等的对日本自行车之多感到惊讶的评论。
かつての「自転車大国」だった中国。自動車から再び自転車に転換できるのか。大国の取り組みが続いています。
曾经的“自行车大国”——中国,能否再次从汽车转换成自行车呢?大国的较量还在持续中。
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