問題11 次の(1)から(3)の文章を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1、2、3、4から一つ選びなさい。
(1) 僕は学校が好きだった。毎日わくわくしながら学校に通ったものだ。学校にはいやな奴も大勢いたが、好きな友達がそれ以上沢山いたからである。向こうは僕のことをどう思っていたのかは分からないが、構わなかった。僕はかってに彼らのことを友達だと思っていたのである。 友達を作る、とよく言う。あの頃先生や親は僕によく「いい友達をいっぱい作りなさい。」と言っていた。僕は彼らがそう言うたびに①「それは違う。」と心の中で反発(注1)したものだった。友達は作るものじゃない、と今でも思っている。友達を作るなんて第一友達に対して失礼だと思った。第二に作った友達は偽物のような気がしたのだ。 僕は友達は作るものではなく、自然に出来るものなのだと思う。僕にも友達が出来なくて辛い時期があったけれど、僕は決して友達を作ろうとはしなかった。つまり無理して誰かに合わせたりしてつきあうことはなかったのだ。僕はいつも自然にしていた。大人になってから、ああ、あの頃あいつは僕の友達だったのだな、と思い知らされた(注2)奴もいた。その頃は喧嘩ばっかりしていたからである。後になってそうやって分かる友達もまたいいものだ。
(中略)
大人になった今、僕は学校を失ってしまった。毎日楽しみにしていた学校はもうない。社会にでてから今日まで、僕は孤独に仕事をしてきた。それでも一生懸命仕事がやれたのは、ふりかえると僕には素晴らしい仲間たちが大勢いたからなのだ。②彼らと過ごした自然な日々は、僕の人生において大いなる大地となっている。そして僕はそこからすくすくと伸びる一本の木なのだ。僕の根っこは彼らと繋がり、僕は空を目指している。
(辻仁成『そこに僕はいた』による)
(注1)反発する:反抗して、受け付けない
(注2)思い知らされる:強く思わされる
60. ①「それは違う。」とあるがどういうことか。
1) 本当の友達は、決して意図的に作るものではない。
2) 新しく友達を作らなくても、すでに友達は十分にいる。
3) いい友達を作ることは、それほど簡単なことではない。
4) 互いに友達だと思えなければ、本当の友達とは言えない。
61. ②彼らとは誰のことか。
1) 学校にいた頃に出会った友達
2) 学校や仕事で繋がっている友達
3) 一緒に仕事をしてきた人たち
4) 人生で出会ったすべての人たち
62. 大人になった筆者にとって、友達とはどのような存在か。
1) そばにいて見守ってくれている。
2) 今でも心の支えになってくれている。
3) 孤独になったときこそ思い出される。
4) 今も一緒にいて多くの経験を共にしている。
(2)人間の顔には、いろいろな特徴があります。毛がないというのがその一つ、そしてもう一つの特徴は、顔が非常に柔らかいということです。特に口が柔らかいというのが人間の顔の特徴です。もともと口の役割は、食べ物を食べるということでした。しかも口でその食べ物をつかむことが必要ですから、顔の中でも口が一番前にないと食べられません。したがって、ほとんどの哺乳類(注1)では口が前にとび出しています。 口にはもう一つの役割があります。相手を攻撃する道具としての口です。相手に噛みついて攻撃する。そのためにはやはり口は一番前にとび出ていて、しかも固くなければいけません。一番前にとび出ていて固い、それが普通の動物の口の特徴なのです。 ところが、人間では、直立歩行をするようになって、口の役割が変わりました。なぜなら、食べ物をつかむということは、直接口を使うのではなくて、手でできるようになったからです。食べ物を手でつかんで口のところまでもってくることによって、口は必ずしも( )。人間の口が進化(注2)の過程でだんだん引っ込んできたのはそのためです。 さらに、直立歩行で手が自由になったために、相手への攻撃も手を使ってできるようになりました。その結果、攻撃の道具としての口の役割もだんだん失われてきました。必ずしも固い必要はない。柔らかくてもいい。こうして、口の周りがどんどん柔らかくなっていったのです。
(原島博『顔学への招待』による)
(注1)哺乳類:子を乳で育てる動物
(注2)進化:生物が発達によって長い間に変化すること
63. 人間以外の哺乳類の口について述べているのはどれか。
1) 口は顔の中で一番固いが、人間と同じように進化して引っ込んできた。
2) 相手を噛んだり食べ物をつかんだりするため、口は固く前に出ている。
3) 食べ物を他の動物より早く口に入れるため、口が一番前に出ている。
4) 進化の過程で口が必ずしも相手を攻撃する道具ではなくなってきた。
64. ( )に入る文として適当なものはどれか。
1) 一番前にとび出ていなくてもよくなりました
2) 固くて引っ込んでいなくてもよくなりました
3) 相手を攻撃するためのものではなくなりました
4) 食べるためだけに使うものではなくなりました
65. 人間の口が変化した理由について、正しく説明しているものはどれか。
1) 人間の口の周りは動物と比べて柔らかく、攻撃の道具にならなかったから
2) 直立歩行で手や足を使って相手を攻撃することができるようになったから
3) 哺乳類は手を使って食べるようになり、口でつかむ必要がなくなったから
4) 食べ物をつかんだり相手を攻撃したりするとき手を使うようになったから
(3) フサヒビールは子供の誕生日や運動会などのために休暇を取れる「子育て休暇」を導入した。中学校入学前の子供を持つ社員が対象で、子供が一人の場合は年5日、二人以上の場合は年10 日まで休める。育児・介護休業法では、未就学児の病気・けがの看護を目的とする休暇の取得を認めている。フサヒは要件(注2)を育児全体に広げ、社員の子育てを後押しする。
新制度は9月1日付で新設した。子供が3歳未満なら有給、3歳以上なら無給で休暇を取れる。理由は子供の誕生日や入学式のほか、PTA(注3)への参加など「育児全般に関する幅広い事由」とする。これまでは看護で休む際にも診断書や薬袋のコピーなどを証拠として提出する必要があったが、新制度は申請するだけで利用できる。
新制度で育児中の女性社員の負担を軽減すると同時に、男性社員の育児参加を促す。育児・介護休業法に基づく休暇は育児をする女性のほとんどが取得しているものの、男性の取得率は3%にとどまっている。同社には最大2年間を無給で休める育児休業制度もあるが、利用できる制度の選択肢を増やす必要があると判断した。
(「子育て休暇」2007年9月5日付日本経済新聞による)
(注1)未就学児:小学校に入る前の子供
(注2)要件:必要な条件
(注3)PTA:学校の先生と父母の会
66. 「子育て休暇」の目的は何か。
1) 社員の子育てを支援することで、日本の人口減をくい止めること
2) 子供が未就学児のうちから親が教育に関心を持つようにすること
3) 無給でも育児休暇を取る社員を増やし、生産の能率を上げること
4) 条件をゆるくし、社員がもっと子育てしやすいように助けること
67. 「子育て休暇」を取るのに必要な条件はどれか。
1) 夫婦ともにこの会社に勤めている社員
2) 中学校入学前の子供がいる男性社員
3) 小学生の子供が二人以上いる社員
4) 小学生までの子供がいる社員
68. この休暇を取るときに、どんな手続きが必要か。
1) 休暇の理由を証明する診断書などを添えて申請する。
2) 学校の行事等の通知文書のコピーを添えて申請する。
3) 提出する証明書などは不要で、申請すればよい。
4) 子供の年齢の証明書を添えて、申請すればよい。
問題12 次のAとBは100メートル走についての文章である。AとBの両方を読んで、後の問いに対する答えとして最もよいものを、1 ・ 2 ・ 3 ・ 4から一つ選びなさい。
(注1)効率性:ここでは、一定の時間に水準の高い多くの仕事ができること
(注2)声高に:声を大きくして
(注3)とことん追い詰められる:逃げる道のないところまで追われる
(注4)踏ん張る:ここでは、我慢する
69. AとBの文章で共通して述べられていることは何か。
1) どんな仕事でも逃げたいと思うことがある。
2) つらいと思ったら迷わず逃げても構わない。
3) 逃げることは必ずしも悪いことではない。
4) 逃げるという選択をすれば楽な生き方ができる。
70. 逃げたいと思うことについて、AとBはどのように述べているか。
1) Aは逃げる決断を急がないほうがよいと述べ、Bは逃げることは負けることだと自分に言い聞かせたほうがよいと述べている。
2) Aはとてもつらいときなどには逃げてもよいと述べ、Bは悩みが解決できないなら逃げてもよいと述べている。
3) Aはいつでも逃げるという選択をしたほうがよいと述べ、Bは逃げたくなったときこそ自分の将来をよく考えるとよいと述べている。
4) Aは逃げたいという気持ちを持ってもよいと述べ、Bは逃げたいと思っている自分の気持ちをよく見つめた方がよいと述べている。
答案:
問題11:1 1 2 2 1 4 4 4 3
問題12 :3 4
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