叱ったり、苦情や注意を言ったりするときも、説得の技術が必要になってきます。まず叱り方ですが、私は子ども時代、人一倍のやんちゃ娘でした。ひどい悪さをして、母からほうきで廊下を追い回された覚えが幾度かあります。捕まえると母は私を蔵に閉じ込め、「どんな悪いことをしたのか、よく考えなさい。」と言って鍵を掛けて出て行ってしまいます。「ごめんなさい。こういう悪いことをしました。」と言うまで出してもらえませんでした。父は口では叱りませんでしたが、食事のときでも一言も話し掛けてくれないのです。こうした孤独感は子ども心には耐え難く、こたえました。
家庭も職場でも、叱ったり注意を与えたりすることは、親や目上の仕事の一つです。しかし、下手に叱ると反抗心を起こさせたり、萎縮させたりして、よい結果を生みません。「叱るよりほめよ。」と言われるのもそのためです。よく街角で、お母さんが子どもにキーキー声で噛みついているのを見かけます。「ほんとに、なんて子でしょうね。もうあんたみたいな子はうちではいりません。」当の相手のやんちゃそうな男の子のほうは、反抗心いっぱいの表情でプイとそっぱを向いています。そのように叱る者自身が感情的に怒ってしまっては、効果がありません。叱るときは、相手の人格を認めて、怒らず、冷静に叱らなければならないのです。
(「話し方のマナー」による)
問1 筆者は子どもの時分、どんな性格だったのか。
1 知らない人に不安を感じたり、恥ずかしがったりする性格。
2 すぐに物事に夢中になる性格。
3 活発で大人の言うことをあまり聞かない性格。
4 落ち着いて静かな性格。
問2 「叱る」事に関する筆者の考えに最も近いものはどれか。
1 叱るときは、感情的になるべきではない。
2 叱るときは、思うままに怒ったほうがいい。
3 どんな場合でも人を叱ってはいけない。