教育は何か。一口でいってしまえば一人一人の子どもがもっている多様な先天的、後天的資質をできるだけ生かし、その能力をできるだけ伸ばし、発展させ、実り多き幸福な人生をおくることができる一人の人間として成長することを助けるのが教育だといってよいでしょう。そのとき強調しなければならないのは、教育は決して、ある特定の国家的、宗教的、人種的、階級的、ないしは経済的イデオロギー(主義)によって支配されるものであってはならないということです。教育目的はあくまでも、一人一人の子どもが立派な一人の大人になって、個人的幸福な、そして実り多い人生をおくることができるように成長することをたすけるものでなければなりません。
教育の目的をこのような意味でとらえるとき、まず注目しなければならないのは、一人そのアスピレーション(希望、抱負)もまた個性的で、多様な形態をもつことです。一人一人の子どもがもっている能力を単元的に測って、比較しようとしたり、そのアスピレーションを順位づけしようとすること自体、教育の目的から大きく逸脱したものであることを心に留めることが大事です。
ある子どもは、文章を読んだり、作ったりするのが得意であったり、数の計算がうまく、図形の性質を正確にとらえる能力をもっています。ある子どもは、歌を上手にうたい、絵を描くのがうまかったり、あるいは工作を得意とします。また、走るのが得意であったり、物まねが上手な子どももいます。一人一人の子どもがもっている個性的な資質を大事にし、その能力をできるだけ育てることが教育の第一義的な目的であることはいうまでもありませんが、同時に子どもたちが成人して、それぞれ一人の社会的人間として、充実した、幸福な人生をおくることができるような人格的諸条件を身につけるのが、教育の果たすもう一つの役割であります。そのために、教育は、個別的な家庭あるいは、狭く地域的ないしは階級的に限定された場ではなく、できるだけ広く、多様な社会的、経済的、文化的背景をもった数多くの子どもたちが一緒に学び、遊ぶことができるような場でおこなわれることが望ましいわけです。学校教育制度が、上のような教育の理念からの必然的帰結でもあり、現実に世界のほとんどの国々で学校教育制度がとられているのも、このような事情からです。
(宇沢弘文『日本の教育を考える』岩波新書による)
この文章のまとめとしてもっとも適当なものはどれか。
1 教育は国家、宗教、人種などによって目的がちがうので、同じようにはできない
2 教育は子どもが立派な一人の大人になることができればおわりである
3 教育は子どもの資質を育てるだけでなく、人格も育てることを目的にしている
4 教育は子どものもつ資質が多様なので、個別的におこなうほうが効果が高い
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