ドームの中が暗くなり、さあ星空と思いきや、映し出されたのは特急「あずさ」の映像だ。主人公の小学校の女性教師が、故郷に帰って、流れ星をながめるという設定で、女優の声が語りかける。列車は故郷に向かい、田園風景のスライドも映し出される。星が登場するのはそれからだ。
「統計数理研究所」が「日本人の国民性調査」の結果を先月末に発表した。調査は昭和28年から5年ごとに実施されているので、その結果を見ると、日本人の考え方の推移を認められて興味深い。
今回はそのなかで、男性・女性に関することについて結果を示しながら考えを述べて見たい。かつては多くの女性が、生まれ変わるとすると男性に生まれ変わりたいと言う願望を持つ、といわれてきたが、その傾向が逆転したのである。
「生まれ変わるとすれば男性か女性か」との設問に、69%の女性が「女性に生まれ変わりたい」と答えている。これを昭和33年の調査結果で見ると、女性の64%が「男性に生まれ変りたい」と答えているのだから、完全な逆転である。
これに関連して、「楽しみが多いのは男性か女性か」との質問でも、かつては男女とも「( ① )」が圧倒的だったのが、ここでも逆転現象が起こり、男女全体で見ても、楽しみが多いのを「女性」(42%)とした回答が「男性」(38%)を初め抑え、女性優位を示している。
このことは、わが国において、男性・女性の生き方や考え方に相当な変化が生じつつあることを示しており、きわめて興味深い。ただ、この結果をどう読み解くのは簡単なことではなく、速断はできないと思う。
もちろん、最近とみに強調されてきた男女共同参画社会(注1)がだいぶん実現されてきて、これまでのような一方的な男性優位の社会の在り方が改善されてきた、と言う事実が大きい要因と思われる。しかし、それだけが要因とは思われない。というのは、男女共同参画社会はだんだん実現されてきてはいるが、この数字に示されているほど、②それは満足すべき状況とは思われないからである。まだまだ、いろいろなところで男性優位の状況が認められる。
女性の7割の人が「女性に生まれ変りたい」と願い、男女全体で見て、楽しみが多いのは男性より女性だと判断することが、現在の状況の中で行われているところに、③注目すべき点がある。つまり、現状においてさえ、「④女性の時代」が到来しつつあるとの予感がこれらの数字に反映されているように思われるのである。
これはつまり、女性も男性も同じことができるので、男をうらやましがる必要がない、と言うのではなく、女性は女性として楽しく、それは男性より楽しさが大きい、ということを示しているようだ。といって、ここで結論を急いで、男は「男らしく」、女は「女らしく」生きるのがよいなどということになっては、間違ってしまう。
そもそも、その時に言う「男らしい」「女らしい」とはどういうことを指すのか考えて見る必要がある。この調査で、男も女も共に、女の方が楽しみが大きいとしている理由のひとつとして、男は社会的因習にまだまだとらわれているのに、女の方が自由で好きなこと----それは従来「男らしい」と言われていたことも含む----ができるからいい、という面があると思われる。これによって、女は「女らしく」している方が楽しい、などという結論は決して出てこないだろう。
では次のような考えはどうだろう。従来、男のすることとして考えられていた、政治、経済、軍事、などに対して、女のすることのように考えられていた、文化、芸能、家事の差について比較してみると、前者は後者より価値が高く、したがって、⑤男は女より優位であると思われていたのが、最近になって変わってきたのではなかろうか。
女性も以前に比べるとはるかに、政治、経済、軍事などの分野に進出してきた。と同時に、男性も以前よりは、文化、芸能、家事などにかかわり、それを「女の仕事」と思う人も減ってきた。そのようななかで、従来の分類にしたがって、女の方が男よりも楽しいと一般の男女が共に気付きはじめた、と言うわけである。このような分類にしたがって、女の時代が到来しつつあると考える。
男性と女性の問題は、非常に複雑で、一筋縄(注2)で決してとらえられないし、男性的、女性的という意味も、決して明確にはならない。従って、今日の調査結果に対して、早急な答えは出せないにしろ、ともかく従来の⑥ステレオタイプ(注3)を破る面白いことがおこりつつあるとはいえそうである。
(注1)男女共同参画社会:伝統的な女性軽蔑の風潮、固定的な性別役割分担の意識をなくし、男女が平等に社会に参加すること。またその社会。
(注2)一筋縄:一本の縄(一筋縄ではいかない:普通の手段では自分の思うとおりにならない)。
(注3)ステレオタイプ:紋切り型。決まり文句。常套手段。
1、文中の( ① )には入る最も適当なものは次のどれか。
1、女性のほうが楽しみは多い
2、男性のほうが楽しみは多い.
3、男女とも楽しみは少ない
4、男女とも楽しみは多い
正确答案:2、男性のほうが楽しみは多い.
解释:これに関連して、「楽しみが多いのは男性か女性か」との質問でも、かつては男女とも「( ① )」が圧倒的だったのが、ここでも逆転現象が起こり、男女全体で見ても、楽しみが多いのを「女性」(42%)とした回答が「男性」(38%)を初め抑え、女性優位を示している。
「ここでも逆転現象が起こり」表示前面要我们填写的部分与后面的文章叙述内容是相反的。后文说了“男女全体角度”数字显示出“女性优势”,也就是认为“女性更快乐”的人更多。则相反的说法为“男性更快乐”的人更多,故选2。
2、「注目すべき点」とは、どうのようなことか。
1、女性の7割が「女性に生まれ変りたい」と願っている点
2、以前の調査と比べ、完全な逆転現象が起こった点
3、男性優位の状況で、男女共同参画社会が実現されている点
4、男性優位の状況で、男性より女性のほうが楽しみが多いと判断する点
正确答案:4、男性優位の状況で、男性より女性のほうが楽しみが多いと判断する点
解释: 女性の7割の人が「女性に生まれ変りたい」と願い、男女全体で見て、楽しみが多いのは男性より女性だと判断することが、現在の状況の中で行われているところに、③注目すべき点がある。つまり、現状においてさえ、「④女性の時代」が到来しつつあるとの予感がこれらの数字に反映されているように思われるのである。
「つまり」后面进一步阐述了「注目すべき点」,所以要选择与后面一句涵义相一致的选项,选4。
3、筆者がこの文章で最も言いたいことは、どれか。
1、男女共同参画社会が実現され、男性優位の社会が改善されてきてはいるが、まだまだ男性優位の状況があり、満足すべきではない
2、まだまだ男性優位の状況の中で、自由で好きなことができる女性の時代が到来しつつあることは極めて興味深いことである
3、男性は社会的因習にとらわれている一方で、「女の仕事」もするようになり、男らしくするより、女らしくする方が楽しいと気付いた
4、男性と女性の問題は複雑で速断はできないが、調査の結果を見ても何かが変わっていくかもしれないという予感がして興味深い
正确答案:4、男性と女性の問題は複雑で速断はできないが、調査の結果を見ても何かが変わっていくかもしれないという予感がして興味深い
解释: このことは、わが国において、男性・女性の生き方や考え方に相当な変化が生じつつあることを示しており、きわめて興味深い。ただ、この結果をどう読み解くのは簡単なことではなく、速断はできないと思う。
男性と女性の問題は、非常に複雑で、一筋縄(注2)で決してとらえられないし、男性的、女性的という意味も、決して明確にはならない。従って、今日の調査結果に対して、早急な答えは出せないにしろ、ともかく従来の⑥ステレオタイプ(注3)を破る面白いことがおこりつつあるとはいえそうである。
考察作者观点,而非符合文章意思的选项,切记。
4、「女性の時代」とは、どのような意味か。
1、女性に生まれ変りたいと言う人が増え、以前と比べ完全な逆転現象が起こる時代
2、女性が男性と同じことができ、男性をうらやましがる必要がない時代
3、女性が男性よりも優位に立ち、権力を持つ時代
4、男性に比べ女性のほうが自由で好きなことができるのでいいという時代
正确答案:4、男性に比べ女性のほうが自由で好きなことができるのでいいという時代
解释:
つまり、現状においてさえ、「④女性の時代」が到来しつつあるとの予感がこれらの数字に反映されているように思われるのである。
これはつまり、女性も男性も同じことができるので、男をうらやましがる必要がない、と言うのではなく、女性は女性として楽しく、それは男性より楽しさが大きい、ということを示しているようだ。といって、ここで結論を急いで、男は「男らしく」、女は「女らしく」生きるのがよいなどということになっては、間違ってしまう。
关键词「これはつまり」,说明后文会详细展开阐述前文观点或内容。关键词「と言うのではなく」,说明该处的前后部分是对比的内容。选项1、3在本段没有叙述,排除;选项2是「と言うのではなく」前的部分,是以前普遍的认识,为作者否定的部分,排除;选项4符合原文。
5、なぜ「男は女より優位であると思われていた」のか。
1、女より男の方が、楽しみが多かったから
2、男の仕事は女のより価値が高いとおもわれていたから
3、男は文化、芸能、家事などをしなかったから
4、政治、経済、軍事などの分野に女が進出しなかったから正确答案:2、男の仕事は女のより価値が高いとおもわれていたから
解释:従来、男のすることとして考えられていた、政治、経済、軍事、などに対して、女のすることのように考えられていた、文化、芸能、家事の差について比較してみると、前者は後者より価値が高く、したがって、⑤男は女より優位であると思われていたのが、最近になって変わってきたのではなかろうか。
关键词「したがって」,表示因果关系,所以关键词前面即为答案,选2。
6、筆者の述べている「ステレオタイプを破る面白いこと」とは、何か。
1、男性、女性の生き方や考え方に変化が生じていること
2、男は男らしく、女は女らしく生きることが逆転すること
3、男性優位の社会から女性優位の社会になって、男女の仕事が変わること
4、今までと違って、男性が女性の生き方をうらやましがること正确答案:2、男は男らしく、女は女らしく生きることが逆転すること
解释:従って、今日の調査結果に対して、早急な答えは出せないにしろ、ともかく従来の⑥ステレオタイプ(注3)を破る面白いことがおこりつつあるとはいえそうである。
这里问的是作者认为社会中确实能断言的正在发生的打破旧常规的有趣现象。选项2,发生逆转的并不是「男は男らしく、女は女らしく生きること」;选项3,社会还没变为「女性優位の社会」;选项4,文中没怎么说男性羡慕女性。
参考翻译:
统计数理研究所于上月末发布了《日本人的国民性调查》结果。调查自1953年开始每5年实施一次,从结果来看,认识到日本人想法的推移,颇有意思。
在本次调查结果中,我想边看有关男性女性的调查结果边陈述我的看法。以前多数女性如果有来生的话希望转世为男性,这个倾向如今逆转。
设问为“如果有来生的话,希望转世为男性还是女性?”,69%的女性回答说“希望转世为女性”。而在1958年的调查结果中,有64%的女性回答说“希望转世为男性”,两者完全相反。
与此关联的,如果问“快乐更多的是男性还是女性?”,以前男女都回答“男性更快乐”而这里也发生了逆转现象,从男女全体来看,回答“女性”更快乐的占42%、回答“男性”更快乐的占38%,开始有所抑制,表现出了女性优势。
这一现象,在我国,反映出男性女性的生活方式和想法发生了相当程度的变化,极有意思。不过,解读这一结果并不简单,不可轻率地判断。
当然,很大的一个因素是最近突然开始强调的男女共同参与策划社会已相当实现了,要改善之前的男性优势的社会状态。可是,主要原因不仅如此。就是说,虽然男女共同参与策划社会已相当实现了,我不认为应该满足于如数字所显示出的这样程度。必须承认还有很多地方男性处优势地位。
7成的女性希望“转世为女性”,从男女全体看,虽能判断女性比男性更快乐,但在现实状况中,仍有需要注意的地方。就是说,可以认为这些数字反映出了“女性时代”正在到来。
这也就是说,表现出不是“女性男性因为能做同样的事情,所以没必要羡慕男性”,而是“女性作为女性快乐,并且比男性更快乐”。可是,在这里急于下结论,认为男性要“像个男人”,女性要“像个女人”生活就好这样的,却是不可取的。
毕竟,这里说的“像个男人”“像个女人”究竟指什么则有必要试着考虑一下。在这个调查中,男女双方都以女方更快乐作为理由之一,男性仍受社会惯例的制约,而女性则自由——这是以往“像个男人”之类的话中所包含的意思——可以做喜欢的事情所以很好。据此,是得不出女性“像个女人”那样生活就很快乐的结论的吧。
那么接下来这样想如何。以往,被认为是男性工作的领域是政治、经济、军事等,与此相对地,被认为是女性工作的领域则是文化、表演艺术、家政,比较两者间的差别,前者比后者价值更高,因此认为男性比女性的地位更高,但最近发生了变化不是么。
女性和以往相比,在政治、经济、军事等领域参与程度要高地多。同时,男性也比以往,在相反的文化、表演艺术、家政等领域的参与度高起来,认为这些是“女人的工作”的人减少了。这之中,关于以往的分类,一般男女都开始认识到女性比男性更快乐,这才是原因吧。由于这样的工作分类,所以女性的时代正在到来吧。
男性和女性的问题,非常复杂,决不能用一般的手段分析,男性的、女性的,其意思也无法明确。因此,对于今天的调查结果,即使不急于得出回答,也还是可以说打破以往常规的有趣的事情正在发生吧。
以上就是日语能力日语能力考N2读解练699的相关内容,阅读没有更好的办法,基本知识掌握牢固的前提下要多做练习,把握做题规律,祝各考生取得一个好成绩。
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